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番外編 緊急提言「金型無償保管問題」への対処が早急に必要です

  • mnakata85
  • 5 日前
  • 読了時間: 5分

1.金型無償保管は「下請法違反」に該当し、該当企業の摘発・勧告が急増


 公正取引員会は近年監視を強化しています。

 2024年度、勧告と指導の合計件数は8251件、業種別では製造業が3478件(42.2%)、卸・小売業が1481件(17.9%)、情報通信業939件(11.4%)

公正取引委員会による勧告
公正取引委員会による勧告

 大手メーカの子会社も対象となっている。直近の勧告事例では、三菱ふそうトラック・バス株式会社、トヨタ自動車東日本株式会社、日産子会社の愛知機械工業株式会社、東京ラジエータ製造株式会社、井関農機株式会社、荏原株式会社では、木型保管についても勧告を受けている。

 本事例は氷山の一角であり、公正取引委員会は引き続き指導・勧告を一層強化する方針としている。



2. 対応:取引条件の明確化と契約書整備が必要、特に相互の金型保管・廃棄管理システムが必要


 公取、中小企業からは、内部統制システムを構築し、定期的なチェックを通して違反の未然防止が求める。

とされた。また、トヨタ自動車東日本の事例では、貸与型だけでなく、サプライヤーが調達した自前の金型まで

支払い勧告の対象とされ、ショッキングな事案と注視されている。


1) 金型保管・廃棄管理システムの課題:現行の資産管理システムでは不可能

 サプライヤーにある金型の棚卸管理は、通常は購買部門が担当し、これまでは「資産管理システム」が流用されてきた。しかしながら、金型を廃棄する際には、他製品への部品流用の可否も確認する必要があり、金型によっては開発BOMとの連携も求められ、資産管理システムの延長では金型管理は難しい

 更に、金型保管は自動車の場合、20年間のサービスパーツ供給が自動車部品には求められ、金型の錆び対策、定期的なクリーニングや、部品交換も必要になる。その判断は、生産技術や工場の生産部門の管轄だ。したがって、従来の資産管理システムでは正確な金型の廃棄・棚卸管理は不可能で、専用のシステムが必要となる


2)金型保管・廃棄管理専用システム:金型IoT・金型貸与先管理システムの提案

 KMCでは、2015年の川崎モデル事業を皮切りに、金型の保管や廃棄の問題に取り組み、中小企業でも利用できるグループ金型管理クラウドサービスを開始した。

 さらに2020年からは、コニカミノルタ株式会社などの中・大手企業を対象に、金型をサプライヤーへ貸与する際の管理ができるシステムを開発し、販売を開始している。


システムの特色は、

 

イ)発注側、サプライヤー双方が金型保管・棚卸、廃棄に関する全ての機能を網羅

  ⇒金型IoT:クラウド金型貸与先管理システム

 

ロ)発注側がクラウドサーバーを運用し、サプライヤーは低価格費用で棚卸や破棄情報がアップできる

  ⇒ペーパーレス・メール・電話確認レス:デジタル金型情報管理

 

ハ)金型の個体管理、棚、工場、国の棚卸管理が“QRコード“で可能(特許)

  ⇒金型や治工具専用の20年耐性“QR銘板”を開発販売


金型貸与先管理システムの機能
金型貸与先管理システムの機能

貸与先金型管理システムは、発注側とサプライヤー側の双方で金型情報をデジタル管理することで、金型の所在や廃棄状況を漏れなく把握できる仕組みである。


金型貸与先管理システムの概要
金型貸与先管理システムの概要

3)導入効果と事例、導入価格

 

 コニカミノルタ株式会社は2020年より、金型IoT:クラウド金型貸与先管理システムを導入し、当時、世界の8万型のサプライヤーの貸与金型の管理を開始した。現在は医療機器などの他事業へも拡張し、10万型以上を管理している。

 取り組み当時、購買担当者がサプライヤーへの棚卸依頼やその金型所在の確認、使用できる金型なのか金型メンテ状態の確認など、メールとEXCELで管理、時には電話での確認を行っていた。このシステムの導入を決断したのは購買部門の役員と聞く。

 導入後、購買担当者年間1人分の工数削減が確認され、金型廃棄率も100%を達成し、国際会計基準にも対応できた。サプライヤー側も、タブレットで確認者QR、金型個体、棚QRで国、工場、エリアの管理が1分で行うことができ、データも自動アップで顧客への棚卸報告が可能になった。双方WIN-WINの関係構築ができあがった。

 

 現在、システムサービスの価格は「5万型まで対応・買取価格650万円」で、サブスク料金も用意されているため、導入後すぐに運用を開始できる。また、20年耐久の「QR金型銘板」は1枚2,600円で販売している。

 近年では、従来のペンキ書きやシールではISO監査で「消えて識別できなくなる」と指摘されるケースが増えたことから、QR銘板への確実な個体管理への切り替えが進んでいる。


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3) 金型・治工具など金属専用「QR銘板」の紹介

 金型の個体管理には、ペンキやシール、レーザー刻印などがあるが、QRコードを活用すれば、所在だけでなく、金型資産番号や金型名称、管理番号、更には金型のクリーニングなども管理できる。RFIDも考えられるが、金属対応のRFIDの読み取り性能が悪く、認識できない場合がある。

 また、20年、錆などの劣化にも耐えなければならない。また、金型はクレーンなどでの運搬も頻繁で“コスレ”等にも強くないとQRが読み取れない。当社のQR銘板は表面をガラスコーテイングされており、20年の耐性を売りにしている。

QR銘板
QR銘板

3. 金型IoT:クラウド金型貸与先管理システムの主な機能紹介

 

1)金型IoT:金型管理クラウドの機能図

 

 貸し手・借り手の双方に向けた管理画面、操作画面、タブレット画面が用意されている。

各種エビデンスや写真、そのコメントなども入力でき、さらに型図や仕様書などの関連資料ともリンク可能である。

これにより、ワンストップで運用できるパッケージソフトとなっている。また、作業者QR、金型QR、棚QRで、だれがいつどの金型を棚卸したかのトレービルテイも完璧だ。これからは不正が一番世間のバッシングを受けやすく、企業イメージのダウンとなるので“金型管理の透明化”は重要だ


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 中小企業向けには低価格な「金型管理クラウド」簡易版が用意され、金型の自主管理も可能なシステムだ。神奈川県内の中小でも導入され“自主防衛”を積極的に進め、中・大企業と連携した金型管理として小規模事業者からも導入効果が報告されている。


【提言】

これからの日本は、サプライチェーンが重要になる。特に金型管理はその基本となる管理であり、透明化が必須だ。とにかく、人材不足に今、デジタル金型管理ソフトで自動化する時代だ。指導、勧告を受ける前に是非取り組んでほしいい


 
 
 

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