Case study導入事例

Case06 プレス工程を科学する取り組みに挑戦

株式会社伊藤製作所 様/株式会社ウチダ製作所 様

厚板の順送りプレス加工を得意とする伊藤製作所様、IoT によるプレス機械の生産性向上などデジタル化に早くから取り組んできたウチダ製作所様、 そしてKMCの3社は、「プレスセンシング・監視システム」の実証・高度化システムの構築を目指して現在活動を行っております。



■背景

高硬度の厚板部品加工ではパンチの刃先にかかる圧縮応力が高く、パンチコーナー部に欠けや剥離が生じやすいという問題があります。

カス上がりやミスフィード、排出不良による2枚抜きなどの異常を検出してプレス機械を急停止させるセンサも存在していますが、これらは結果に対してOK/NG を判定するに過ぎません。 NG の場合にプレス機械を急停止させたとしても、高硬度の厚板部品の場合は金型が大破しドカ停のリスクがあります。

そこで、伊藤製作所様・ウチダ製作所様、そしてKMCの3社では、材料の板厚・材料の表面温度・パンチ刃先の温度・パンチごとの荷重・荷重バランス・背圧・プレスフレームの伸びなどを総合的に監視し、 異常発生前の傾向について分析を行いました。分析結果に基づき閾値を設けることで、異常発生前にプレス機を停止させることを目的としたものです。 本構想にもとづきKMCが開発したのが、「フォグコンピューティング金型監視システム」です。


■効果

「フォグコンピューティング金型監視システム」では、分析結果に基づきパンチ荷重やプレスフレームの伸びの波形に閾値を設けることで、波形の変位によりプレス機を停止させることに成功しました。

深絞りや板鍛造など、高温にさらされるパンチの管理や表面処理の最適化も可能になるほか、本システムを使用することでプレス機の稼働状況を簡易的に把握することも可能となります。また、本システムは無線でエッジPC までデータ送信ができるのでPLC が不要となり、コスト面からも中小製造業には大きなメリットがあると考えられます。
■今後の展望

今後、3社ではプレス加工での不良撲滅を目指し、以下のテーマにおける取り組みを続けてまいります。

○ビッグデータに対してディープラーニングを行うことで学習済モデルを確立し、プレス機械を停止するフォグ監視システムを開発する

○傾向値ビッグデータからAI システムの構築(金型の未来予測、金型の故障診断、故障の予知などの処理)

○板厚変動などによる寸法外れに対し、センシングデータを金型内寸法調整機構にフィードバックし、良品しかつくらないプレス加工システムの開発

○既存の金型にセンシングシステムを追加すると金型の剛性を大きく損なうため、センシングシステムの装備を前提とした金型設計の標準化


「プレス工程を科学する」―。伊藤製作所様・ウチダ製作所様のこうした取り組みが「製造業のDX」の成功事例となることが期待されます。

※本内容は、「プレス技術2021年10月号」(日刊工業新聞社発行)に掲載された内容を一部抜粋して掲載しております。

詳細につきましては、こちらよりダウンロードいただけます。

商 号 株式会社 伊藤製作所
所 在 地 三重県四日市市広永町101
設 立 1945年12月
資 本 金 5,000万円
事業内容 順送り金型設計製作、プレス部品加工、部品組立

商 号 株式会社 ウチダ製作所
所 在 地 愛知県知多市金沢字郷中120-2
設 立 1980年5月
資 本 金 5,000万円
事業内容 自動タップ加工・金型製作・順送プレス加工

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